観て、聴いて、読んで、体験したアイテムの感動ノート
寺田寅彦随筆集 (第1巻)/寺田寅彦 (著), 小宮豊隆(編)
寺田寅彦は、明治〜大正期に活躍した物理学者、随筆家、俳人。
理系の人だが文学や芸術に造詣が深く、自然や人生をテーマにした随筆は、しみじみとして人間味あふれている。

…という情報だけは昔から知っていたが、気になりながらも今まで読んだことがなかった。
で、いざ本屋で探してみるとこれが店頭に無い。
新宿に出たついでに、紀伊国屋を覗いたが置いていない。はす向かいのジュンク堂にも無い。
日本を代表する二大書店に在庫してないとは思わなかった。
まあ岩波文庫だし(?)、そんなに売れるものじゃないし、仕方ないのか。
「あ、寺田寅彦の随筆を読みたいな。買いに行こう」なんて思いつく人はそうそう居ないだろうし、そういう人はまず図書館か古本屋に行くんだろう。

で、amazonでアッサリ入手。便利な時代だ。
最近は本屋を物色することも殆ど無くなったが、これじゃあ無理も無い。

肝心の内容だが、巻頭、いきなり肺病の妻が死ぬ話。
本来暗い内容なのだが、おさえた叙情と丁寧な情景描写で、あたたかく格調高い文章になっている。

同時代のアインシュタインが、古いニュートン力学を根底から打ち壊した、と世間の人が誤解していることへの警告。これは科学者としての部分。

大正九年の「丸善と三越」という文章では、日本橋三越のエスカレーターについての随想がある。
一階で自分の子供(小学生)をエスカレーターに乗せてやると、階上へ自動的に運ばれていくうちに、文字を覚え算術を覚え、六年くらいは瞬く間に経って、二階へ到着するころには子供はいつのまにかひとかどの小さな学者になっている……という連想だ。
エスカレーターが珍しかった時代ならではの連想だが、これってもしかして、教育システムにおける「エスカレーター式」の語源となる記述だったのではなかろうか。(違うかもしれないけど)

アンビエント・ドライヴァー(単行本) /細野晴臣 (著)
2006年発売。
1995年〜2006年までの、細野サンが考えていたこと、抱えていた問題(もちろん音楽にまつわる事)などを記録した、興味深い一冊。

あのアルバムの意図はこういうことだったのか…とか、スケッチショウの成り立ちに関することとか、ファンならばナルホドと感心したり、勉強になったり。
求道者の心の旅を垣間見る。

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たとえ世界が不条理だったとしても―新・音楽展望2000‐2004 (単行本) /吉田 秀和 (著)
1913年生まれで、今も現役の音楽評論家の、2005年に出版された著書。
朝日新聞に連載されたコラムをまとめたものだ。
先日、NHK教育テレビで吉田氏の特集番組を視て、その生き様、音楽にかたむける情熱と愛情に感動した。
著書を読みたいと思ったが、全集に手を付けるのはちょっと気が引けたので(楽譜と首っ引きで読みこなすスキルも無いし)、最近のもので軽い感じの本書を読んでみた。
含蓄のあることば。年齢を考えると信じられないような若々しい感性と、絶妙な「たとえ」ばなしの数々。
本書で紹介されたCDを、是非聴いてみたいという気にさせられる。
「グールド再考」の項などは、特に興味深く読んだ。(著者は、グレン・グールドを日本に紹介したひとの一人でもある)

音楽とは直接関係ないとも思われる、文化人類学的な考察も面白い。

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