ファースト・アルバム『グレイ・スカイズ』とともに、本日再発された。
ニューヨークから、凄腕ドラマーのクリス・パ−カーを招聘して行われたレコーディングでは、スタジオに入った時点で全てのアレンジが仕上がっていたそうな。
だからかどうか判らないが、全体に引き締まって緊張感のあるアルバムになっている。
大貫をはじめ坂本龍一、細野晴臣、山下達郎、大村憲司、渡辺香津美、後藤次利…ほか、そうそうたる参加ミュージシャンたちは、この時点でまだ全員20歳代である。
あの、細野サンでさえ29歳だった…遠い昔のできごとである (笑)
クロスオーヴァー・ミュージックと、大貫妙子の独特な透明感のあるヴォーカルが不思議にマッチする、初期の傑作アルバムだ。

本日(10月3日)最新リマスター、紙ジャケット仕様でリリースされた。
ボーナス・トラックとしてアルバム未収録曲が3曲追加されている。
緊張感と完成度は、セカンド・アルバム『サンシャワー』に譲る本作だが、ファンとしては必須アイテムである。
まだこの頃はリアルタイムに聴いていなかったが(大貫妙子を初めて聴いたのは、1980年の『ロマンティーク』)
当然の事ながら、声が若い…
LP時代に見て、「これはないだろう」と思っていた裏ジャケットの写真だが、やっぱり本人も納得していなかったようだ。今回のリイシューで本人のコメントがあるかと思っていたら、やっぱりライナーで言及されている。
CDの紙ジャケでは、写真のサイズも小さくなったので、それだけが嬉しいのだとか。

理系の人だが文学や芸術に造詣が深く、自然や人生をテーマにした随筆は、しみじみとして人間味あふれている。
…という情報だけは昔から知っていたが、気になりながらも今まで読んだことがなかった。
で、いざ本屋で探してみるとこれが店頭に無い。
新宿に出たついでに、紀伊国屋を覗いたが置いていない。はす向かいのジュンク堂にも無い。
日本を代表する二大書店に在庫してないとは思わなかった。
まあ岩波文庫だし(?)、そんなに売れるものじゃないし、仕方ないのか。
「あ、寺田寅彦の随筆を読みたいな。買いに行こう」なんて思いつく人はそうそう居ないだろうし、そういう人はまず図書館か古本屋に行くんだろう。
で、amazonでアッサリ入手。便利な時代だ。
最近は本屋を物色することも殆ど無くなったが、これじゃあ無理も無い。
肝心の内容だが、巻頭、いきなり肺病の妻が死ぬ話。
本来暗い内容なのだが、おさえた叙情と丁寧な情景描写で、あたたかく格調高い文章になっている。
同時代のアインシュタインが、古いニュートン力学を根底から打ち壊した、と世間の人が誤解していることへの警告。これは科学者としての部分。
大正九年の「丸善と三越」という文章では、日本橋三越のエスカレーターについての随想がある。
一階で自分の子供(小学生)をエスカレーターに乗せてやると、階上へ自動的に運ばれていくうちに、文字を覚え算術を覚え、六年くらいは瞬く間に経って、二階へ到着するころには子供はいつのまにかひとかどの小さな学者になっている……という連想だ。
エスカレーターが珍しかった時代ならではの連想だが、これってもしかして、教育システムにおける「エスカレーター式」の語源となる記述だったのではなかろうか。(違うかもしれないけど)


