1973年のデヴュー・アルバムを、30年後に再録音した作品である。
『チューブラー・ベルズ 2』、『チューブラー・ベルズ 3』、『ザ・ミレニアム・ベル』、『チューブラーX』(「Xファイル」とのコラボで、冗談みたいなCD)など、親の敵のように「これでもか」と同じモチーフを使い回され、いくら名曲でも、いくら熱心なファンだとしても、さすがに辟易としていた「チューブラー」シリーズだが、本作品はこれらバリエーションとは意味合いが違うものだ。
これはオリジナル『チューブラー・ベルズ』の、リ・レコーディング作品だ。
マイク・オールドフィールドが18歳か19歳の時に、たいへんな手間と時間をかけて多重録音して作り上げた、因縁の(あるいは怨念の)デヴュー作品を、最新のレコーディング環境で再現したものだ。
ライナーで解説者も書いているが、おそらくオールドフィールドは、1973年のオリジナル版を「亡きものに」するために、この作業に臨んだのではないだろうか。
歴史的名盤『チューブラー・ベルズ』には、『エクソシスト』事件(音楽家にとってはまさに事件だったろう)をはじめ、複雑な影がまとわりついていた。なんとかしてこれを払拭したかったのではないか。
再録音された『チューブラー・ベルズ 2003』は、内容的にはオリジナル版と殆ど変わらないにもかかわらず、やけに抜けがよく、あっけらかんとして、オリジナル版を支配していた鬱蒼たる影が無くなった。
これはこれで面白いものだが、だからといって1973年版の存在意義が無くなったわけでは勿論無い。
あの、怨念のこもった音にこそ、感動したのだから。
因に、出来ることならこの作品は、5.1チャンネルのサラウンドシステムで聴くことをお薦めしたい。


