無実の罪で処刑される、目の不自由なシングルマザーの悲劇。
あまりに辛い内容で、二度とは観たくない映画だが、森達也著『死刑』を読んでいる時に、以前観たこの映画の事を思い出していた。
映画はミュージカル仕立てで寓話的、一見荒唐無稽に見えるが、まったくあり得ない話ではない。
かつて我が国でも、このような冤罪は有った。
いや、もしかすると今現在も、無実の処刑は粛々と行われているのかもしれない。秘密裏に。
(憎むべき犯罪は有る。しかしその報道は、真実を歪めた形になっている場合が多い。ワイドショウや週刊誌はウソにまみれている。新聞やNHKも信用出来ない。インターネットも然り。しかし一般市民は、それらから情報を得るしか方法はない。
何事も鵜呑みにしないように。すべてを疑って、感覚と目を曇らせないようにしなくてはいけない。絶望してもいけない。無関心になるのが最も不味い。)
主演のビョークは、演技も歌も素晴らしい。
まさに魂の絶唱。
それだけに、ラストのショックはメガトン級だ。
以前、『いのちの食べかた』を読んで感銘を受けて、気になる存在だった森達也氏の新刊なので、手に取ってみた。
『死刑』というショッキングなタイトルだが、この本は死刑という制度について取材し、考察したドキュメンタリーだ。
犯罪被害者の遺族、確定死刑囚をはじめ、国会議員、刑務所長、刑務官、元裁判官、元検事、弁護士、その他関係者が実名で登場する。
衝動と取材力で、徹底的に「不可視」化された我が国の死刑制度の不条理に挑んでいる。
死刑廃止か。存置か。
非常に重いテーマで、3年以上かけた大仕事。
エピローグに至っても、スッキリ納得…というわけには行かない。
しかし、読んで良かった。
死刑は、自分が日常、まったく気にかけた事も無い現実だ。
我が国には、死刑というシステムが厳然としてある。
多くの死刑囚が、絞首の刑に処されて来た。
その中には、明らかな冤罪によるものも有った。
自分の無知と無関心は、それだけで罪のような気がしてくる。
とても読みやすく、一気に読んでしまった。
これからは、日々起こる凶悪な事件のニュースを見る目も、ちょっとだけ変わるかもしれない。



