スタンリー・キューブリック監督作品である。
ナボコフの同名小説の発表から7年後の映画化だが、この題材を選ぶところがキューブリック監督の一筋縄ではいかないところだ。
昔観たときはピンとこなかったのだが、原作を読んでから改めて観ると、相当よく出来た映画だと解る。
今で言うところの放送コードとか、映倫とかに全く抵触しないやりかたで、この難しい映画化を実現している。(もっとも、原作小説にも直接的な表現は殆ど登場しない)
キューブリック監督ならではの、非常に禁欲的な手法で撮られているので、俳優たちの演技力がとても重要な要素になっている。
主人公ハンバート教授役のジェームズ・メイソンと、ロリータの母親役のシェリー・ウィンタース。この2人が、映画に現実味を与えている。
映画終盤、ハンバートがロリータにすがってメソメソ泣くシーンは、さすが名優と唸らされるところだ。
トリックスターとしてストーリイをかき回すクレア・クイルティを演じるピーター・セラーズ。この人の怪人ぶりが異彩を放っているので、物語が少し解りづらくなっているのだが、これは当然キューブリック監督の確信犯だ。それは翌年に製作された『博士の異常な愛情』で証明される。
ロリータ役のスー・リオン。昔見たときには、なんでこんなに特徴の無い女の子を起用したのだろうと思ったのだが、今見ると確かにはまり役だ。
その後の彼女の実生活での、波乱に満ちた人生を思う時、いよいよキャラクターが重なって見えてくる。
それと、さすがにキューブリック映画らしく、カメラは超一級だ。


