録音後ずっと未発表のままだったが、チェット・ベイカーの死後7年経った1995年になってやっとリリースされた、いわくつきのアルバムだ。
ギターとベースに、ベイカーのトランペットとヴォーカルだけのシンプルな構成。
ベイカーがラッパを吹かずに、ヴォーカルだけをやっている曲も多い。
やはり50年代のベイカーは、ラッパも歌も瑞々しく艶があって良い。
独特の気怠さと、儚さ。親密でクール。不思議なエロス。
後年の枯れた感じも捨てがたいが、人気絶頂期の青春の力は、何ものにも替えがたい。
ドラムレスで、まったりとしているが、選曲が良く、じっくりと聴ける。
同内容の通常CDとSHM-CDの二枚組で、普通のCDと比べてSHM-CDとは一体いかがなものか?…というのを聴き比べられる商品だ。
ポリカーボネートの品質が向上して音も良くなったというふれこみだが、聴き比べると微妙ながら確かに違う。
違いが判りにくい曲もあるが、ペンタングルの「ライト・フライト」では、生の弦やパーカッションの響きが明らかに違う。SHM-CDの方が、フレッシュに聞こえる。
家の、特に高級でもないオーディオ環境でも違いが判るのだから、オーディオ好きの人にとってはかなりの違いになるのだろう。
価格が安いので、気軽に買える名曲コンピレーションとしてもグッド。



