内容は『くさり―ホラー短篇集』同様、玉石混淆であり、今となっては古くささの否めない作品が多い。
「怪段」は、ページにして4ページ足らずのショートショートだが、何かに似ているな…と思った。その何かとは、映画『アザーズ』だ。
『アザーズ』はニコール・キッドマン主演で、2001年製作のスリラー映画。ワン・アイディアの映画で、ネタバレすると一気につまらなくなるタイプの映画だ。公開当時劇場に観に行ったが、映画中盤でネタが解ってしまい、結局楽しめなかった残念な記憶がある。
筒井の「怪段」が書かれたのは『アザーズ』よりもかなり昔だろうし(初出が載ってないのが不親切)、映画とは何ら関係ないけれど、要するにこの手の落とし話は、4ページで語るべき内容である、ということだ。
「母子像」は初めて読む短編だった。この文庫本の解説者が大絶賛しているが、それほどまででは無いにせよ、たしかに映像的に心に残る、佳作だと思う。
あまりの面白さにほぼ半日で読破してしまった小説である。遅読な自分としては驚異的な速さである。
地球の100万倍の速さで時間が進む中性子星「竜の卵」。そこに棲む、知的生命体「チーラ」と、地球人類とのコンタクトの物語。
序盤は、ハードSFらしく専門的用語や、概念の把握に苦労する設定などに難儀するものの、そこを我慢して読み進めると、最後には浪漫で胸が一杯になるような感動が待っている。
興味のある人には、是非手に取って読んでみることをお薦めしたい。
決して、とっつきやすい本ではない。でも、他ではなかなか得られない一種独特な満足感が得られると思う。
当時は福島正実・編『人間を超えるもの』海外SF傑作選〈講談社文庫〉というSF短編のアンソロジーで読んだ。このシリーズは何冊か出ていて、珠玉のラインナップだったのだが、今では古本屋に行かないと入手できないらしい。
「にせもの」はその後映画化された(ゲイリー・シニーズ主演『クローン』)が、ディック原作ものにしてはまあまあの出来だった。
『クローン』という邦題はひどすぎると思うが。



