観て、聴いて、読んで、体験したアイテムの感動ノート
佇むひと―リリカル短篇集/筒井康隆 (著)
去年(2006年)初版になった文庫本だが、半分近くが昔読んだことのある短編だった。
内容は『くさり―ホラー短篇集』同様、玉石混淆であり、今となっては古くささの否めない作品が多い。

「怪段」は、ページにして4ページ足らずのショートショートだが、何かに似ているな…と思った。その何かとは、映画『アザーズ』だ。
『アザーズ』はニコール・キッドマン主演で、2001年製作のスリラー映画。ワン・アイディアの映画で、ネタバレすると一気につまらなくなるタイプの映画だ。公開当時劇場に観に行ったが、映画中盤でネタが解ってしまい、結局楽しめなかった残念な記憶がある。
筒井の「怪段」が書かれたのは『アザーズ』よりもかなり昔だろうし(初出が載ってないのが不親切)、映画とは何ら関係ないけれど、要するにこの手の落とし話は、4ページで語るべき内容である、ということだ。

「母子像」は初めて読む短編だった。この文庫本の解説者が大絶賛しているが、それほどまででは無いにせよ、たしかに映像的に心に残る、佳作だと思う。

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竜の卵/ロバートL.フォワード (著), 山高昭 (翻訳)
1980年に発表された、ハードSF小説。
あまりの面白さにほぼ半日で読破してしまった小説である。遅読な自分としては驚異的な速さである。

地球の100万倍の速さで時間が進む中性子星「竜の卵」。そこに棲む、知的生命体「チーラ」と、地球人類とのコンタクトの物語。

序盤は、ハードSFらしく専門的用語や、概念の把握に苦労する設定などに難儀するものの、そこを我慢して読み進めると、最後には浪漫で胸が一杯になるような感動が待っている。

興味のある人には、是非手に取って読んでみることをお薦めしたい。
決して、とっつきやすい本ではない。でも、他ではなかなか得られない一種独特な満足感が得られると思う。

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ディック傑作集〈1〉パーキー・パットの日々/フィリップ・K・ディック (著)
中学生の頃読んで、衝撃的だった短編「にせもの」が収録された短編集。

当時は福島正実・編『人間を超えるもの』海外SF傑作選〈講談社文庫〉というSF短編のアンソロジーで読んだ。このシリーズは何冊か出ていて、珠玉のラインナップだったのだが、今では古本屋に行かないと入手できないらしい。

「にせもの」はその後映画化された(ゲイリー・シニーズ主演『クローン』)が、ディック原作ものにしてはまあまあの出来だった。
『クローン』という邦題はひどすぎると思うが。

くさり―ホラー短篇集/筒井康隆
すごく短いショートショートから、比較的長めのものまで。
内容も怖いのからそうでもないもの、出来のいいものと良くないもの、と玉石混淆。
かなり古い作品ばかりで、時代色が濃厚に出ているものもある。(国鉄とか)

表題作「くさり」は正統的なホラー。怖い。
「「蝶」の硫黄島」はスラップスティック。これがホラーか?とも思うが、面白い。
「アフリカの血」は細分化された時間の描き方が凄い。
「鍵」はホラーとしては異質だ。誰も死なないのに、収録作の中で一番怖いかもしれない。

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パプリカ (文庫) /筒井康隆
成人女性向けの雑誌に連載されたらしい。
なので、ナイスミドルな二人の色オヤジたちが登場、主人公パプリカとイイ感じの三角関係(ワケあって、プラトニック)を保ちながらナイトよろしく大活躍…と思いきや、訳の分からぬドタバタのスラップスティックになだれ込んで行くところが筒井節。
アニメーション映画版では、大幅に改変されたが、原作のこのドロドロしたとりとめのなさも良い。

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